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OpenSSLが9件の脆弱性を修正 — QUICの二重解放やCMSヒープ溢れなど、DoSが中心

OpenSSLプロジェクトは2026年8月25日にセキュリティアドバイザリを公開し、9件の脆弱性を修正した。QUICサーバの二重解放(CVE-2026-18798)やCMS復号時の8バイトヒープ溢れ(CVE-2026-63072)など、主な影響はサービス拒否(DoS)で、リモートコード実行につながる証拠は確認されていないとしている。対象バージョンの利用者は修正版への更新が必要だ。

攻撃手法
ソフトウェア

OpenSSLプロジェクトは2026年8月25日、9件の脆弱性を修正するセキュリティアドバイザリを公開した。対象はOpenSSL 4.0系、3.6系、3.5系などを中心とする複数の系統で、QUICサーバの二重解放やCMS(暗号メッセージ構文)復号時のヒープ溢れなど、主な影響はサービス拒否(DoS)だとしている。プロジェクトは、いずれの脆弱性についても現時点でリモートコード実行に悪用可能とする証拠は確認されていないと説明している。

OpenSSLはウェブサーバやVPN、メールサーバなど幅広い製品に組み込まれている暗号ライブラリだ。日本国内の企業でも利用が広く、バージョンの確認と計画的な更新が求められる。

何が修正されたか — 9件の概要と深刻度

OpenSSLプロジェクトが2026年8月25日付で公開したアドバイザリ「OpenSSL Security Advisory [25th August 2026]」は、次の9件を修正対象として挙げている。プロジェクトが付与した深刻度はModerateが3件、Lowが6件相当で、いずれもDoSが主な影響だ。

  • CVE-2026-18798: QUICサーバの二重解放(Double Free) — Moderate
  • CVE-2026-63072: CMS鍵アンラップ時のヒープ溢れ(Heap Buffer Overflow) — Moderate
  • CVE-2026-63076: CMPサーバの不正なprotectionAlgによる無効ポインタ参照 — Moderate
  • CVE-2026-14457: RPKサーバの署名アルゴリズム選択時の証明書欠落参照 — Low
  • CVE-2026-54874: 将来エポック向けDTLSレコードの過剰なメモリ保持 — Low
  • CVE-2026-63073: CMPレスポンス検証時の送信者DNフォーマット文字列 — Low
  • CVE-2026-63074: CMPのExtraCertsの無制限キャッシュ増加 — Low
  • CVE-2026-63075: QUIC ACK専用パケット保持によるメモリ枯渇 — Low
  • CVE-2026-75803: EVP_Cipher()使用時の空の暗号文でのAEAD偽造 — Low

いずれもOpenSSLプロジェクト自身が発見・報告を受けて修正したもので、FIPSモジュール境界外の実装に起因し、FIPSモジュール自体への影響はないとしている。

主な脆弱性の詳細 — QUICとCMSが中心

CVE-2026-18798: QUICサーバの二重解放

QUICサーバがINITIALパケットを処理する際に、検証用のQRXオブジェクトを二重に解放してしまう問題だ。OpenSSLのQUICスタックは初期パケット検証のためにQRXオブジェクトを生成し、チャネル(接続オブジェクト)生成に成功した場合はそのオブジェクトを接続に紐づける。生成に失敗した場合は接続側が解放するが、呼び出し元でも再び解放してしまい、ヒープ破壊が生じる。

OpenSSLプロジェクトによると、RFC 9000に準拠しない不正なINITIALパケットで誘発できる。具体的には、宛先接続ID(DCID)が8バイト未満と短い場合に、内部関数が不正な長さを検出してエラーパスに入り、二重解放が発生する。影響はQUICサーバプロセスの終了によるサービス拒否で、現時点でリモートコード実行が可能とする証拠はなく、悪用可能性は極めて低いとしている。報告はFuzz0x氏(ZKSC Institute of Security Research)ら3者から2026年7月27日〜8月16日に寄せられた。

CVE-2026-63072: CMS復号時の8バイトヒープ溢れ

CMSメッセージを復号するCMS_decrypt()で、鍵アンラップ結果の出力バッファを小さく確保してしまい、8バイトの領域外書き込みが発生する問題だ。攻撃者は正規のメッセージの鍵ラップ用OID(識別子)の1バイトを書き換え、パディング付きのラップ方式を選択させることで、復号失敗時にも8バイトのゼロ書き込みがヒープ上で起きるように細工できる。結果としてヒープ破壊によるサービス拒否が生じる。プロジェクトは、修正版で最悪ケースを想定したバッファ確保に変更したと説明している。影響を受けるのはOpenSSL 4.0、3.6、3.5、3.4、3.0、1.1.1で、1.0.2は影響を受けない。

その他の脆弱性

CMP(証明書管理プロトコル)関連では、パスワード保護検証時の不正なアルゴリズムパラメータ参照(CVE-2026-63076)、送信者DNをフォーマット文字列として扱う問題(CVE-2026-63073)、ExtraCertsのキャッシュが無制限に増加する問題(CVE-2026-63074)が修正された。いずれもCMPサーバやクライアントのDoSや情報漏えいにつながる可能性があるが、深刻度はModerate〜Lowとされている。

また、DTLSで将来のエポック向けレコードを過剰にバッファしてメモリを消費する問題(CVE-2026-54874、約1.7MBの保持)、QUICでACK専用パケットを保持し続けてメモリ枯渇を招く問題(CVE-2026-63075)、空の暗号文でAEADの偽造が可能になる問題(CVE-2026-75803)も修正された。

影響を受けるバージョンと修正版

OpenSSLプロジェクトが示した影響範囲と修正版は次のとおりだ。利用中の系統に応じたバージョンへ更新することで修正が適用される。

  • OpenSSL 4.04.0.2 へ更新する。3件のModerateを含む9件中8件が対象だ。
  • OpenSSL 3.63.6.4 へ更新する。同様に8件が対象だ。
  • OpenSSL 3.53.5.8 へ更新する。同様に8件が対象だ。
  • OpenSSL 3.43.4.7 へ更新する。CMSの溢れやCMP関連など6件が対象だ。
  • OpenSSL 3.03.0.22 へ更新する。同様に6件が対象だ。
  • OpenSSL 1.1.1(プレミアムサポート向け)は 1.1.1zi へ、1.0.2(同)は 1.0.2zr へ更新する。一部のDTLS関連などで影響を受ける。

OpenSSL 4.0、3.6、3.5は9件中、QUIC関連を含む複数の脆弱性の影響を受ける。一方、OpenSSL 1.0.2は今回の9件のうち一部のみが対象で、QUICやCMSの一部の問題は影響を受けないとされている。

OpenSSLプロジェクトは、修正版の入手を公式サイトやディストリビューションの提供するパッケージ経由で行うよう呼びかけている。利用中の製品に組み込まれたOpenSSLのバージョンは、製品ベンダーの案内を確認する必要がある。

出典

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