規制・コンプライアンス / COMPLIANCE / EXPORT CONTROL / TAIWAN
台湾検察、AIサーバ74台の中国不正輸出で9人を起訴 — 8台は日本経由、Nvidia・Supermicro社員も関与
台湾・基隆地検は2026年8月25日、輸出が禁じられたNvidia B300 GPU搭載の高性能AIサーバを中国本土へ不正輸出したとして、NvidiaとSuper Microの社員を含む9人を起訴したと発表した。74台は中国到達に成功(50台はインドネシア経由、16台は中国へ直送、8台は日本→香港経由)、56台は台湾に残り未遂に終わった。4人には最長5年の求刑が求められている。
台湾・基隆地検(Keelung District Prosecutors Office)は2026年8月25日、輸出が禁じられた高性能AIサーバを中国本土へ不正輸出したとして、Nvidia社員1人とSuper Micro元社員2人を含む9人を起訴したと発表した。Associated Press(AP)が同地検の文書を基に伝えたもので、NvidiaとSuper Microはそれぞれ声明で台湾当局への協力を表明している。
近年、先端半導体を含むAIインフラは米中競争の核心となっている。米国は2022年からNvidiaの先端チップの対中輸出に規制を導入し、その後も強化。2025年4月にはNvidia H20チップの対中輸出にライセンスを義務付け、同年後半に一部販売の再開を容認するなど、措置の緩和と再強化が繰り返されてきた。
何が起きたか:B300搭載サーバ74台が中国に到達、56台は未遂
基隆地検の文書によると、今回不正輸出されたのはNvidiaのGPU「B300」を搭載した高性能AIサーバで、中国への販売は禁輸対象だった。同地検は 「8台を超える高性能AIサーバの販売には、顧客先への現地確認が義務付けられる」 とする台湾側の審査手続きにも言及している。
検察が認定した流通経路は次の通りだ。
- 中国到達に成功:74台
- 50台:インドネシア経由
- 16台:中国へ直送
- 8台:日本へ送付後、香港を経由して中国本土へ
- 未遂:56台 — 台湾内に留まり、中国への搬送は失敗
一部の被告は日本に会社を設立し、8台の移転を成功させたほか、偽のウェブサイトを作成し情報を偽装して輸出規制を回避したとされる。
基隆地検は9人のうち4人について最長5年の量刑を求刑している。**「主導役(key figure)」と位置付けられたのはNvidiaのマネージャー Chang氏(姓のみ公表)で、「B300 GPUの出荷を承認する責任者だったが、犯行後の態度が明らかに不良だった」**と文書で指摘されている。
企業側の対応と規制の背景
Nvidiaの広報担当 Patrick Rutherford氏は文書で 「台湾当局が疑惑を可能な限り迅速に解決できるよう協力する」 と述べた。Super Microも 「元社員2人の逮捕は台湾当局への協力によるもので、米国のイノベーションを守るため輸出コンプライアンス・プログラムを強化し続ける」 との声明を出している。
米国による対中輸出規制は、高性能AIサーバそのものも厳格な審査対象としており、台湾は先端半導体の主要製造拠点として、迂回輸出の監視を強化している。今回の事件では、日本が迂回経路の一つとして使われたことが検察文書で明示されており、日本企業がフロント企業の所在地として悪用された点は、国内のコンプライアンス・輸出管理実務でも注意が必要な事例だ。
基隆地検の文書は、偽サイトや虚偽情報による規制回避の手口を具体的に認定しており、取引先の実在性やウェブサイトの真正性、最終需要者の確認が改めて問われる。8台超の取引で現地確認が義務付けられるとする運用は、数量閾値を超えるAIサーバ取引でのデューデリジェンスの水準を示す参考にもなる。
輸出管理を担う部門では、Nvidia B300のような禁輸対象GPUを搭載するサーバの取り扱い有無、迂回輸出リスクの高い経由地(今回のインドネシアや日本→香港ルート)、フロント企業による発注の兆候について、取引審査と出荷承認のプロセスを再点検することが求められる。
出典
- Keelung District Prosecutors Office 文書(2026年8月25日、Associated Press配信で公表)
- Nvidia(Patrick Rutherford氏)およびSuper Microの各声明(同文書内で引用)
- 米国対中輸出規制の経緯(2022年以降の先端チップ規制、2025年4月のH20ライセンス制)は同文書の記述に基づく
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