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研究・分析 / RESEARCH / INDUSTRIAL SECURITY

Kaspersky、産業用システムの脅威レポートQ2 2026を公開 — 攻撃検知率は19.15%で2022年以降最低、東アジアでは2ポイント上昇

Kaspersky ICS CERTは2026年8月27日、産業用自動化システムを対象とした脅威レポートQ2 2026を公開した。悪意あるオブジェクトを検知・ブロックしたICSコンピュータの割合は19.15%で2022年以降の最低水準まで低下したが、東アジアは2ポイント上昇し、バイオメトリクス分野が26.44%で依然として最も高い割合を示した。

Kaspersky ICS CERTは2026年8月27日、産業用自動化システムを対象とした脅威レポート「Threat landscape for industrial automation systems Q2 2026」を公開した。Kasperskyのセキュリティ製品が産業用制御システム上で検知・ブロックした脅威を集計した四半期レポートだ。

レポートによると、2026年第2四半期(Q2)に悪意あるオブジェクトをブロックしたICSコンピュータの割合は19.15%だった。Kasperskyは、この数値が2022年以降で最も低い水準まで低下したと説明している。前四半期からの低下傾向が継続した。

地域別では北欧が8.1%、アフリカが27.9% — 東アジアは2ポイント上昇

地域別の割合は北欧の8.1%からアフリカの27.9%まで大きく差がある。Kasperskyは、前四半期から割合が上昇した地域が5つあったと報告した。上昇幅が最も大きかったのは東アジアで2.0ポイント、アフリカで0.5ポイントだった。

東アジアでは、採掘ツール(マイナー)を除くすべての脅威カテゴリで割合が上昇した。Kasperskyによると、同地域は悪意あるスクリプトとフィッシングページ、スパイウェア、ウイルスでの伸びが最も大きく、インターネット経由の脅威でも増加が最大だった。電子メール経由の脅威をブロックした割合も上昇した。

業種別ではバイオメトリクスが26.44%で最多

業種別ではバイオメトリクス分野が26.44%で最も高い割合を示した。Kasperskyは、同分野が過去から一貫して首位にあると説明している。バイオメトリクス分野のシステムは、インターネット接続が利用可能で、データ交換や承認のために電子メールを多用し、利用組織のサイバーセキュリティ対策が最小限である場合が多いことが背景にあると同社は指摘する。

バイオメトリクス分野は、悪意あるスクリプトとフィッシングページ、悪意あるドキュメント、スパイウェア、ランサムウェア、ワームの各カテゴリで業種別首位だった。電子メール経由の脅威でも首位で、この分野ではインターネット経由の脅威よりも電子メール経由の割合が高いという特徴があるとKasperskyは説明している。ただし全業種で、長期的な平均は低下傾向にある。

脅威カテゴリ別の動向 — ブロックリスト資源が2位に上昇

KasperskyはQ2 2026に10,904種類の異なるマルウェアファミリを産業用システム上でブロックしたと報告した。カテゴリ別では、以下の5つで前四半期から割合が上昇した。

  • ブロックリスト登録済みインターネット資源
  • 悪意あるドキュメント(MSOffice + PDF)
  • ワーム
  • ランサムウェア
  • AutoCAD用マルウェア

主なカテゴリの動向は次のとおりだ。

**悪意あるスクリプトとフィッシングページ(JS/HTML)は、引き続き割合が最も高いカテゴリだった。世界平均は5.42%まで低下したが、東アジアでは前四半期から0.93ポイント上昇して4.86%**となり、過去3年間で2番目に高い水準だった。東アジアでは建設業を除くすべての業種で上昇し、バイオメトリクス(9.01%)とビルオートメーション(6.49%)で最も高い値を記録した。

ブロックリスト登録済みインターネット資源は、前四半期の3位から2位へ上昇し、スパイウェアを上回った。世界平均は2四半期連続で上昇し4.31%に達した。上昇幅が最も大きかったのはロシアで1.33ポイント上昇し、同国の割合は5.17%で地域別首位だった。ロシアでは電力(6.61%)とエンジニアリング・ICS統合(5.62%)で特に高かった。

悪意あるドキュメントは4位で、3四半期連続で低下して過去3年間で最低水準まで下がっていたが、Q2 2026は1.77%へ上昇した。南米で1.35ポイント、南欧で0.48ポイント上昇した。

スパイウェアは3位で、割合は3.30%と2022年以降で最低だった。東アジアでは0.53ポイント上昇して4.77%となり、中国本土では6.61%と地域内で最も高かった。東アジアの電力分野では11.75%に達した。

ランサムウェアは前3四半期で低下していたが、Q2 2026は0.16%へ上昇した。アフリカが0.29%で地域別首位となり、同地域の電力分野では0.72%だった。ロシアのバイオメトリクス分野では3四半期連続で上昇し**1.22%**と、全地域・全業種で最も高い水準だった。

マイナー(採掘ツール)は、Windows実行ファイル型が0.48%、ブラウザ型が**0.14%**といずれも2021年以降で最低だった。石油・ガス分野が両カテゴリで業種別首位だった。

感染経路はインターネットが7.61%で最多、電子メールのみ上昇

脅威の侵入経路別では、インターネット経由が7.61%で最多だが、2021年以降で最低水準まで低下した。上昇したのは東アジア(0.8ポイント上昇して6.3%)、南アジア、ロシアのみだった。

一方、電子メール経由は2.84%へ上昇した。唯一割合が上昇した感染経路で、南米で1.0ポイント、アフリカで0.7ポイント上昇した。南欧のバイオメトリクス分野では19.14%に達した。

リムーバブルメディア経由は0.24%、**ネットワークフォルダ経由は0.023%**といずれも観測期間中で最低水準まで低下が続いた。

日本の製造・インフラへの示唆

Kasperskyのデータは、産業用システム全体では脅威の検知率が低下傾向にある一方で、東アジアでは悪意あるスクリプトやスパイウェア、ウイルスなど複数のカテゴリで上昇が目立つことを示している。Kasperskyは、東アジアの製造業(スパイウェア5.87%)や電力分野での高い数値にも触れている。

同社は、レポートの詳細版で国・地域別や業種別の詳細な統計を公開している。産業用システムを運用する組織は、自社の業種や地域の動向を確認し、インターネットや電子メール経由の脅威への対策状況を点検することが重要だとKasperskyは示唆している。

出典

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