脆弱性 / VULNERABILITIES / ENDPOINT SECURITY
Kaspersky Endpointの権限昇格ゼロデイ「HardBreacher」 — 検証済みPoCが公開、修正は自動配信で対応済み
研究者Nightmare Eclipseは2026年8月下旬、Kaspersky Endpoint Securityの権限昇格脆弱性を突くPoC「HardBreacher」をGitHubで公開した。最新のWindows 11 25H2とKaspersky Endpoint v14.0.0.504で検証されたとされ、成功時にSystem32への書き込みが可能になると説明している。Kasperskyは修正を自動アップデートで配信済みと回答している。
研究者のNightmare Eclipse氏は2026年8月28日、Kaspersky Endpoint Securityの権限昇格の脆弱性を突く概念実証コード(PoC)「HardBreacher」をGitHubで公開した。研究者は最新のWindows 11 25H2とKaspersky Endpoint v14.0.0.504で動作を確認したと説明し、成功した場合に保護されたシステム領域へファイルを作成できることを示した。Kasperskyは該当の脆弱性について修正を配信済みと回答している。
何が公開されたか
GitHubリポジトリ「MSNightmare/HardBreacher」で公開されたREADMEによると、HardBreacherはKaspersky Endpoint Securityの権限昇格(Elevation of Privileges)のゼロデイを突くPoCである。研究者は、以前にMicrosoft製品の脆弱性を巡る投票が行われていた経緯に触れた上で、今回は商用版であるKaspersky Endpointを対象としたと記している。
検証時点の環境は、最新のWindows 11 25H2(完全パッチ適用済み)とKaspersky Endpoint v14.0.0.504である。PoCが成功すると、C:\Windows\System32\MY_SNAKE_IS_SOLID.dllというファイルが作成され、現在のユーザーにフルパーミッションで書き込みが行われると説明している。これは通常では管理者権限がなければ書き込めない領域であり、権限昇格が達成されたことを示す挙動だ。
研究者はPoCについて**「決して安定していない(not in the best shape)」**と明記している。実行するとエラーで失敗する場合があり、成功するまで何度も再実行する必要があるという。安定したワンクリック型のエクスプロイトに発展し得るとしつつも、自身ではその安定化まで手が回らないとも述べている。
影響とリスク — UIプロセス制御で保護機能が崩れる
研究者が特に指摘するのは、KasperskyのUIプロセスを制御した場合の影響である。HardBreacherがUIプロセスを乗っ取ると、Kasperskyの保護機能が**「完全に混乱する(completely loses it)」**状態になると説明している。
具体的には、本来はブロックされるべきファイルへのアクセスを許可したり、逆に許可されるべきアクセスをブロックしたりする挙動や、保護機能自体が停止する事象が起こり得るという。PoCが成功した環境では**「OS全体が混乱した状態(hot mess)」**になると表現しており、エンドポイント保護製品が持つ高い権限を悪用されると、システム全体の整合性が損なわれるリスクを示している。
Kaspersky Endpoint Securityは多くの企業で端末保護の中核として動作しており、セキュリティ製品自体の権限昇格は、攻撃者が防御を無効化しつつ持続的なアクセスを確保する起点になり得る。研究者は、再起動後にPoCが成功したとするスクリーンショットもリポジトリに掲載している。
修正状況 — 自動アップデートで配信済み
KasperskyはSecurityWeekの取材に対し、HardBreacherが突く脆弱性は修正済みと回答している。同社によると、修正は自動アップデートで配信されており、ユーザーは自動更新を待つか、手動でデータベース更新をトリガーすることで適用できるという。
GitHub上のPoCは依然として公開されており、誰でも取得・実行できる状態にある。修正プログラムの適用が完了していない環境では、権限昇格のリスクが残る。Kaspersky Endpointを利用する組織は、コンソール上で定義データベースと製品モジュールが最新であることを確認することが重要だ。
日本の組織への示唆
Kaspersky Endpointは日本国内でも一部企業で利用されている。研究者の検証は最新環境での成功を示しており、未適用の環境では通常ユーザーが管理者相当の操作を獲得される恐れがある。PoC自体は不安定で再実行を要するとされているが、攻撃者が安定化させればサイレントな権限昇格に悪用される可能性を研究者自身が指摘している。
Kasperskyは修正が自動配信済みと説明している。管理者は各端末で自動アップデートが有効か、定義データベースの更新日時が最新かを確認し、必要に応じて手動更新を実施することが推奨される。 セキュリティ製品の権限は高いため、製品自体のアップデート遅延が防御の空白を生む点に留意が必要だ。
出典
- GitHub: MSNightmare/HardBreacher — Kaspersky Antivirus For Endpoint ZeroDay Elevation of Privileges Vulnerability https://github.com/MSNightmare/HardBreacher(2026年8月28日公開)
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