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研究・分析 / RESEARCH / PHISHING

AI生成フィッシングのクリック率は54%、従来型12%の4.5倍に — Microsoft報告とWatchGuardが巧妙化を指摘

WatchGuardは2026年7月24日、AIが生成するフィッシングのリスクを分析した記事を公開した。Microsoftのデジタル防衛レポート2025が示すAI生成フィッシングのクリック率54%は、従来型の12%の約4.5倍に達する。AIが誤字や不自然な表現を解消し、テンプレートを持たない個別生成でフィルタ検知を困難にしていると両社は指摘する。

攻撃手法
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WatchGuard Technologiesの日本法人は2026年7月24日、AIが生成するフィッシングによってアイデンティティへのリスクが高まっているとする分析記事を公開した。執筆はCarlos Arnal氏である。同社はMicrosoftの「デジタル防衛レポート2025」が示す数値を引用し、AI生成フィッシングのクリック率は54%で、従来型キャンペーンの12%の約4.5倍に達すると指摘している。

フィッシングの巧妙化は量ではなく質にある。AIがスペルミスや不自然な表現、書式の不整合といった従来の手がかりを解消し、正規サービスを悪用して本物らしく見せるケースも増えている。さらに、キャンペーンごとに単一テンプレートが存在せず、リアルタイムで固有のバリエーションが生成されるため、セキュリティフィルタが一貫したパターンを識別することが難しくなったとWatchGuardは説明している。

何が変わったのか — 54%と12%の差が示すもの

WatchGuardが引用するMicrosoftのレポートは、AI生成フィッシングのクリック率が54%に達したのに対し、従来型は12%にとどまるとしている。攻撃者がクリックで狙うのは有効な認証情報である。

Mandiantの「M-Trends 2025」では、2024年に窃取された認証情報が初期アクセス経路の2番目に多く、全侵害の16%を占めた。同社によればこれは過去最高の水準であり、背景には情報窃取型マルウェアの増加があるとされる。攻撃者は認証情報を窃取した後、数週間を置いてから正規従業員になりすましてログインするため、侵入後の活動は通常のログインと見分けがつきにくい。

WatchGuardが委託したグローバル調査「From IT Support to Cybersecurity Powerhouse: The New Mandate for MSP Growth」では、91%の組織がAIを利用したサイバー攻撃を懸念している。また、32%の組織がフィッシングやビジネスメール詐欺(BEC)攻撃に常にさらされていると回答した。

なぜ従来の検知が効きにくくなったのか

WatchGuardは、AIによってフィッシングが見分けにくくなった理由を次のように整理している。

  • 誤字や不自然な表現が消失:かつてはフィッシングを見分ける手掛かりだったスペルミスや不自然な言い回し、書式の不整合、明らかに怪しいURLが、AIによって洗練されパーソナライズされた文面に置き換わった。
  • 単一テンプレートの消失:ブロックすべき共通テンプレートが存在せず、キャンペーンごとに固有の文面が生成される。
  • リアルタイムな個別生成:同一キャンペーン内でもバリエーションが都度生成されるため、フィルタが一貫したパターンを学習しづらい。

その結果、テクノロジーも人も、フィッシングを効果的に検知することが以前より難しくなったと同社は指摘する。

WatchGuardが示す対策の方向性 — アイデンティティを境界と捉える

WatchGuardは、すべての侵入を事前に阻止できると想定するのではなく、いずれかの認証情報が侵害されることを前提に被害を抑える設計へ転換すべきだとしている。同社はアイデンティティを新たなセキュリティ境界と位置づけ、次の対策を推奨している。

  • 多要素認証(MFA)の継続:プッシュ通知やワンタイムパスコードは依然として基盤だが、高度なAiTM(Adversary-in-the-Middle、中間者)攻撃ではパスワードと認証コードの両方をリアルタイムで傍受される場合があると注意している。
  • パスキーへの移行:パスキーはパスワードを使わない暗号学的な認証で、正規サイトにひも付けられた認証情報を指紋や顔認証などで利用する。盗むパスワードや再利用可能なコードが存在せず、Webサイトを偽装できても暗号学的な信頼を複製することはできないと説明している。
  • リスクベースのアクセス制御の組み合わせ:誰が・どこから・どのような状況でログインしているかというコンテキストを評価し、認証情報が窃取された場合でも追加の防御層を確保する考え方である。

同社はこれらを「チェックリストに項目を追加する話ではなく、アイデンティティ管理が組織防御の最も重要なレイヤーになる」と表現し、ネットワーク・エンドポイント・アイデンティティを統合するゼロトラストのアプローチとして「WatchGuard Zero Trust Bundle」を紹介している。

日本企業でも、取引先や社内ユーザーを装うAI生成メールが正規の連絡と見分けにくくなっている。WatchGuardの分析は、フィルタや訓練に加え、漏えいを前提としたアイデンティティ保護へ投資を切り替える必要性を示している。

出典

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