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脆弱性 / VULNERABILITIES / ERP PATCH

SAPが9月パッチデーで19件の新規ノートを公開 — CVSS 10.0のメモリ破壊CVE-2026-44756など基盤の重大脆弱性を修正

SAPは2026年9月8日、月例のセキュリティパッチデーで19件の新規セキュリティノートと1件の更新を公開した。Extended Passport処理のメモリ破壊CVE-2026-44756(CVSS 10.0)、NetWeaver Message Serverの認証欠如CVE-2026-58240(CVSS 9.8)など、基盤カーネルやクラウドライブラリに及ぶ重大な脆弱性が並ぶ。同社はパッチの優先的な適用を呼びかけている。

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SAPは2026年9月8日、月例の「セキュリティパッチデー」で19件の新規セキュリティノートと1件の更新を公開した。同社が同日公開したサポートポータルの告知「SAP Security Patch Day – September 2026」によると、今回のリリースはSAPの基盤カーネルやNetWeaver、クラウド開発ライブラリなど広範囲に及ぶ。同社は顧客に対し、サポートポータルでパッチを優先的に適用するよう強く推奨している。日本国内でも多くの大企業がSAPの基幹システムを利用しており、影響の有無を早急に照合する必要がある。

最も深刻な3件 — CVSS 10.0と9.8が基盤を直撃

今回最も深刻度が高い脆弱性は、CVE-2026-44756だ。CVSS基本スコアは10.0(最高値)で、優先度はSAPが定める最上位の「Critical」に分類されている。

  • CVE-2026-44756 — Extended Passport(EPP)処理のメモリ破壊

    • 対象: SAP Extended Passport処理
    • 影響バージョン: KRNL64NUC 7.22 / KRNL64UC 7.22〜8.04 / WEBDISP 9.16〜9.20 / KERNEL 7.22〜9.20など
    • 概要: 細工したExtended Passportプロトコルヘッダーを含むネットワーク要求を送信することでメモリ破壊が発生し、サービス停止や未定義の動作を引き起こす。認証なしでの悪用が想定される。
    • 対応ノート: 3747649
  • CVE-2026-58240 — NetWeaver Message Serverの認証欠如

    • 対象: SAP NetWeaver Message Server
    • 影響バージョン: KERNEL 9.16〜9.20
    • 概要: メッセージサーバーが内部コンポーネントの真正性を十分に検証しないため、遠隔の攻撃者が不正なコンポーネントを登録でき、環境内部での不正操作につながる恐れがある。CVSS 9.8。
    • 対応ノート: 3759472
  • CVE-2026-76969 — Cloud Application Programming Modelの認証情報漏えい

    • 対象: SAP Cloud Application Programmingライブラリ sap/cds-mtxs(マルチテナント)
    • 影響バージョン: 1.18.3以前、2.7.6以前、3.9.6以前、4.0.2以前
    • 概要: 細工した要求により認証情報が漏えいする。CVSS 9.4。
    • 対応ノート: 3798315

このほか、SAP GUI for Javaのアクセス制御不備CVE-2026-66768(CVSS 9.0、ノート3781729)も「Critical」に分類されている。

基盤以外でも広範な修正 — S/4HANA、Commerce Cloud、統合基盤

今回のパッチは基盤カーネルにとどまらず、周辺製品の脆弱性も修正する。

  • SAP S/4HANA(Intercompany Matching and Reconciliation)のSQLインジェクション CVE-2026-44766(CVSS 6.5、ノート3756450)
  • SAP Commerce Cloud(Search And Navigation)のCLRFインジェクション CVE-2026-2332(CVSS 7.4、ノート3791068)— Jettyコンポーネントの利用に起因
  • SAP Integration SuiteのXXE CVE-2026-76958(CVSS 8.5、ノート3792978)
  • SAP Manufacturing Integration and IntelligenceのSSRF CVE-2026-76971(CVSS 6.5、ノート3786489)
  • S/4HANA Finance for Advanced Payment ManagementのCSRF 3件(CVE-2026-76960/76961/76959、ノート3365276など)

また、2026年8月に公開済みの「SAP ABAP Developer Toolsの権限昇格」CVE-2026-58243(ノート3772411)は今回更新が提供され、対象のSAP_BASIS 750〜920が追加で明記された。

SAPによると、今回の19件の新規ノートはいずれも現時点(9月8日)で「実地での悪用の報告や公開された実証コード(PoC)は確認されていない」としている。ただしCVSSが9.0以上の脆弱性が4件含まれることから、同社はパッチの速やかな適用を呼びかけている。

影響確認と推奨される対応

SAPは詳細な影響バージョンを各ノートで公開している。日本企業の基幹システムでは、KERNEL 7.22〜9.20やWEBDISP 9.16〜9.20といった長期運用されているカーネルバージョンが依然として広く稼働しており、Extended PassportやMessage Serverの脆弱性は基盤全体に影響が及ぶ可能性がある。

SAPがサポートポータルで推奨する対応は次のとおりだ。

  • サポートポータル(me.sap.com)で該当するセキュリティノートを開き、推奨される修正プログラムまたはパッチを適用する
  • SAPが公開する「セキュリティ推奨をまとめたドキュメント」を参照し、セキュアな構成を確認する
  • 適用後は、不審なコンポーネント登録や認証情報の不審な利用がないかログを点検する

基幹システムは企業の財務・人事・サプライチェーンなど機微なデータを集約する。SAP自身が「信頼できる製品とクラウドサービスの提供に取り組む」と述べるとおり、今回の基盤レベルの修正は、業務停止や情報漏えいを未然に防ぐために優先度が高い。管理者はまず、自環境のKERNELやWEBDISP、S/4HANAのバージョンを各ノートの対象表と照合し、保守計画にパッチ適用を組み込むことが求められる。

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