脅威動向 / THREATS / HACKTIVISM & DDOS
親ロシア集団NoName057(16)が「#OpJapan」再開 — 8月下旬に26組織へ66件のDDoSを主張とCheck Pointが報告
Check Pointは2026年9月7日、親ロシアのハクティビスト集団NoName057(16)が8月24日に「#OpJapan」を再開し、8月24日〜30日に26組織へ66件のDDoS攻撃をTelegramで主張したと報告した。海運・物流と政府系ポータルが最多の標的で、単純なフラッドに加え検索や問合せフォーム、ログインページなど負荷の高い機能を狙うリクエストでフィルタリング回避を図る手口が確認されている。
要点
- Check Pointは2026年9月7日、2022年から活動する親ロシアのハクティビスト集団 NoName057(16) が、2026年8月24日に「#OpJapan」 を再開したと報告した。動機として 日本のウクライナおよびNATO支援の継続 が掲げられている。
- 同集団はTelegramチャネルで、8月24日〜30日に26の日本組織に対して66件の攻撃 を実行したと主張し、疎通確認サイト check-host.net へのリンクを証拠として提示した。標的は 5つのセクター に分散するが、海運・物流と政府系ポータル が最も影響を受けた。
- 攻撃は大半が DDoS で、手法は単純なフラッドと、検索・問合せフォーム・ログインページなど 処理コストの高い機能を狙うリクエストの組み合わせ。リクエストの細部を変化させて自動フィルタリングを回避する工夫も確認された。
- 8月31日以降は新たな日本向け主張が途絶え活動は沈静化 しており、Check Pointは同集団の関心が #OpEstonia(エストニアを標的とし同様にウクライナ支援を動機とする新キャンペーン)へ移ったと分析している。
何が起きたか — 8月24日に#OpJapan再始動
Check PointのExposure Managementチーム(アナリスト Ofir Munz)が2026年9月7日に公開したブログ「NoName057(16) Renews #OpJapan」によると、NoName057(16)は8月24日、クラウドソーシング型のDDoS攻撃基盤 DDoSia で知られる同集団が、#OpJapan の(再)開始を宣言した。
同集団はロシアのウクライナ侵攻開始以降、#OpJapan のタグで日本組織へのDDoSを繰り返しており、直近の前回は 2026年2月中旬。当時は 日本のNATOとの軍事協力の深化とウクライナ支援 を動機として掲げていた。
今回の再開でも、Telegramでの主張ベースで 8月24日〜30日の7日間に66件/26組織 の攻撃がカウントされている。Check Pointは、これらの主張がいずれもcheck-host.netの計測リンクで裏付けられる形で投稿されていたと説明している。
連合形成 — Dark Storm Teamが直後に合流
今回の#OpJapanでも、前回と同様の 連合形成(coalition-building) が確認されている。
- Dark Storm Team — 親パレスチナ系ハクティビストで、NoName057(16)との共同作戦の前歴がある集団が、8月24日の宣言直後に合流 を表明した。
- 前回の2月キャンペーンでは BD Anonymous が参加し、「パレスチナへの支援が足りない」として日本政府を非難する独自の動機を掲げていた。
Check Pointは、こうした合流は 協調行動を演出して各集団の宣伝効果を相互に高めるハクティビストの常套手段 であり、今後さらに別の集団が追随する可能性があると指摘する。
標的と手口 — 5セクター、物流・政府に集中
標的の内訳
Check Pointによると、今回の主張66件は 26組織、5セクター にまたがるが、海運・物流と政府系ポータルが最多。日本国内の公共サービスやサプライチェーンに関わるウェブ資産が優先的に狙われた構図だ。
攻撃手法
技術的には次の2層が組み合わされている。
- 単純なトラフィックフラッド — 大量のトラフィックで回線やサーバーを飽和させる古典的なDDoS
- 高コスト機能への選択的リクエスト — トップページだけでなく、検索、絞り込みクエリ、問合せフォームの送信、認証API/ログインページ など、サーバー側の処理負荷が高いエンドポイントを集中的に叩く
さらに、リクエストごとにヘッダーやパラメータの細部を変化 させ、シグネチャやレート制限による自動遮断を回避する工夫がみられた。Check Pointは、これはDDoSiaの ボランティアノード(住宅回線などに分散した参加端末)モデル に特徴的な、住宅IPレンジからの分散アクセスと呼応する動きだとしている。
侵入主張は1件のみ — 監視カメラへの日和見的侵入
DDoSが大半を占める中、1件のみ 異色の主張があった。日本の 商業駐車場の監視カメラシステムへの侵入 を同集団が主張したという。Check Pointは、これを 2月キャンペーンでのスパ施設の監視システム侵入主張と同型 と位置づけ、いずれも 中小規模事業者の露出していた脆弱性を突いた日和見的(opportunistic)な侵入 で、計画的な標的型侵入ではないと分析する。
なお、今回のキャンペーンを通じて データ窃取、改ざん(デフェイス)、バックエンドへの本格的な侵害は確認されていない という。
活動の推移 — 8月31日以降は沈静化、#OpEstoniaへ
Check Pointの観測では、8月31日以降、同集団のTelegramで日本関連の新たな主張は投稿されておらず、活動は明確に減速 している。代わって同集団は #OpEstonia という新たなキャンペーンに言及し始めており、こちらでも エストニアのウクライナ支援 を動機として掲げているという。
今後の見通し
Check Pointは、日本がNATOとの安全保障協力や欧米との戦略的連携を強化するにつれ、親ロシアや機会主義的・政治的動機を持つハクティビストによる情報攪乱(disruption)作戦のリスクは高まる と予測する。活動は 地政学的な展開、外交上の節目、政府要人の発言などに同期 して増減し、言説形成や外交姿勢への牽制を狙う動きとして現れるとみている。
推奨される対策 — Check Pointの提言
Check Pointは本キャンペーンを踏まえ、次の防御策を推奨している。
- すべてのインターネット公開ドメインとサブドメイン、本番以外のUAT/検証/テスト環境も含めてDDoS対策(クラウドスクラビング、CDN、レート制限/IPフィルタ)を有効化 する
- Webサーバーとリバースプロキシで タイムアウト、接続数上限、リクエスト処理ポリシーを厳格化。多数の低速かつ持続的なHTTPリクエストで接続枠を占有する Slowloris型 攻撃への耐性を高める
- 検索・絞り込み・フォーム送信・認証APIなど計算コストの高いエンドポイントにキャッシュとレート制限を適用 する
- ログイン、検索、APIなど高トラフィックなエンドポイントをレート制限し、住宅IPレンジからの異常なスパイクを監視 する(DDoSiaのボランティアノードの特徴)
- DDoS発生時のインシデント対応・広報計画を整備 し、顧客・一般向けの一時的な障害時のホールドステートメントを用意する
- 公開ポータルでは MFAと最小権限を徹底。今回は侵入の継続は確認されていないが、基本的な衛生管理が二次被害を抑える
- ビル管理・IoTシステム(CCTV、駐車場、入退室管理)のアクセス制御、デフォルト認証情報、インターネットへの露出を見直す。今回の駐車場監視システム侵入は小規模事業者の露出が起点とみられる
出典
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