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悪性パッケージ「ゼロ」の日は181日間で一度もなし — GMO Flattがサプライチェーン脅威レポート2026を公開、約3.1万件を検出

GMO Flatt Securityは2026年9月3日、ソフトウェアサプライチェーン攻撃の動向をまとめた「ソフトウェアサプライチェーン 脅威レポート 2026」を公開した。セキュリティAIエージェントの観測基盤が2月19日から8月18日の181日間に約1,900万件のパッケージを解析し、約3万1,000件を悪性と判定した。悪性パッケージが1件も見つからない日は181日間で一度もなかったという。

攻撃手法
ソフトウェア

GMO Flatt Securityは2026年9月3日、ソフトウェアサプライチェーン攻撃の動向をまとめた調査レポート「ソフトウェアサプライチェーン 脅威レポート 2026」を公開した。同社のセキュリティAIエージェント「Takumi byGMO」の「Guard」機能(Takumi Guard)の観測基盤が、2026年2月19日から8月18日までの181日間に主要パッケージレジストリを継続観測したデータに基づく。開発者が日常的に使うパッケージの取得経路が、攻撃者にとっても格好の攻撃経路になっている実態を数値で示している。

181日間で約3.1万件、悪性ゼロの日はなし

観測対象はnpm、PyPI、RubyGems、Go modules、crates.io、Packagistの6つのパッケージレジストリで、公開されたパッケージを継続的に取得し、配布物の内容、インストール時や読み込み時に実行される処理、通信先を解析した。利用者への配布を止めるべきと判断したものを「悪性」と判定している。

主な観測結果は次の3点である。

  1. 検出数は約3万1,000件:181日間で約1,900万件のパッケージを解析し、約3万1,000件を悪性と判定した。侵害としてニュースになるのは年間で数件から十数件程度だが、その背後では桁違いの数の悪性パッケージが公開され続けている。
  2. 181日間、毎日検出が続いた:悪性パッケージが1件も見つからない日は一度もなかった。大規模侵害が報じられた週には数千件に増える一方、大きな報道がない週にも新規の悪性パッケージは公開され続け、攻撃は特定時期への集中ではなく日常的に発生していた。
  3. 狙いは組織の権限と開発者個人の資産の両方:端末侵入後、悪性パッケージがまず探索するのはSSH秘密鍵、クラウドの管理権限、パッケージの公開権限といった開発業務の認証情報で、加えてブラウザ保存のパスワード、SlackやDiscordのセッション情報、暗号資産ウォレットの秘密鍵も探索されていた。なかでもパッケージの公開権限が奪われると、攻撃者はその権限で別のパッケージに悪性コードを追加し、感染した開発端末が新たな配布元に変わる。一度の侵害が次の侵害を生む連鎖構造を持つ。

2026年の主要侵害事案

レポートの前提として、GMOは2026年に起きた正規パッケージの更新作業中を狙う大規模攻撃を列挙している。3月には週間1億回ダウンロードされる「axios」が改ざんされ、利用者がライブラリを更新しただけで侵害される事態が起きた。4月にはパスワードマネージャー「Bitwarden」関連パッケージが侵害を受け、4月末から5月にかけては「Mini Shai-Hulud」と呼ばれる連続侵害が二波にわたり、第二波では200を超えるパッケージが侵害された。7月にはAsyncAPIエコシステムの複数パッケージが、8月には週間1億回以上ダウンロードされるキャッシュライブラリ「keyv」などが侵害された。GMOは、これらはいずれも利用者が多いために報じられた事案であり、報道に至らない侵害がどの程度あるかを示す日本語の情報は限られていたと指摘している。

GMOが示す対策

GMO Flatt Securityは、侵害が起きることを前提に、パッケージを取り込む過程そのものに検査や待機期間を組み込む対策を示している。

  1. 公開直後のバージョンを使わない(Minimum Release Age):公開から一定期間が経過するまで取得せず待機期間を設ける。悪性バージョンの多くは公開から短時間で削除されるため危険な取得を避けられる。ただし脆弱性修正版の取り込みとのトレードオフがあり、一定期間後も削除されない検体もあるため単体では防ぎきれないと注意を促している。
  2. Takumi Guardの導入:パッケージレジストリと開発環境の間に介在するプロキシで、ダウンロード時に悪性の有無を検証し、悪性と判定したものを開発者端末やCI/CD環境に届く前に自動遮断する。7月のAsyncAPI、8月のkeyvの侵害では、いずれも悪性バージョン公開から約2分でブロックが完了し、同社が確認する限り利用環境での被害は発生していないという。

Takumi Guardが検査するパッケージダウンロード数は、2026年5月時点から3,000万件増加し、8月には1日あたり5,000万件を超過する日を観測した。相次ぐ侵害事案で開発現場の危機感が高まり、開発者端末を守る「水際対策」の必要性が広く認識されつつあるとしている。レポート全文は同社のダウンロードページで公開されている。

なお本記事はGMOインターネットグループのプレスリリースおよびGMO Flatt Securityの公開レポートに基づく解説であり、観測データは同社の判定基準によるものである。

出典

この記事は、公開情報と編集部の調査・知見をもとに構成しています。内容は公開時点の情報に基づく解説であり、個別の環境への診断・対応を保証するものではありません。重要な判断では、記事内の出典や各提供元の最新情報もご確認ください。