規制・コンプライアンス / COMPLIANCE / AVIATION RULE
米運輸省が航空遅延・欠航の最終規則を公表 — 規則を順守する航空会社へのサイバー攻撃は「会社起因」から除外、10月19日発効
米国運輸省(DOT)は2026年9月3日、航空便の遅延・欠航の原因報告に関する最終規則を公表した。2024年FAA再授権法第511条(b)に基づき、適用されるサイバーセキュリティ規則を順守する航空会社へのサイバー攻撃を含む10事象を「航空会社起因」から除外し、新たな報告区分を設ける。発効は2026年10月19日。
米国運輸省(DOT)は2026年9月3日、航空便の遅延・欠航の原因報告に関する最終規則(文書番号2026-18040)を連邦官報で公表した。2024年FAA再授権法第511条(b)の定めに基づき、適用されるサイバーセキュリティ規則を順守する航空会社へのサイバー攻撃を含む10事象を「航空会社(Air Carrier)起因」の報告区分から除外し、「第511条(b)区分」という新たな報告区分を設ける。規則の発効日は2026年10月19日だ。
2002年以来の報告枠組みを変更
運輸省の規則によれば、2002年以降、米国の報告対象航空会社は15分以上の遅延と欠航の原因を月次で報告してきた。従来の区分は、航空会社起因、異常気象、国家航空システム、保安、到着機遅れの5区分だった。このうち航空会社起因は、航空会社の管理下にある事情に使う区分と位置づけられてきた。
今回の最終規則は、2024年5月16日に成立した2024年FAA再授権法(公法118-63)第511条(b)が、10の特定事象を航空会社起因に含めてはならないと定めたことを、そのまま規則に落とし込むものだ。運輸省は14 CFR 234.4に新たな報告区分を追加すると同時に、航空会社起因の定義を改め、この10事象の除外を明記した。
除外される10事象とサイバー攻撃の条件
規則が列挙する10事象は次の通りだ。
- 乗客の死亡に伴う清掃が必要になった場合
- 異常気象・異物・破壊行為による機体損傷
- 航空会社やその委託業者の管理外にある手荷物システムの停止による搭載遅延
- サイバーセキュリティ攻撃(当該航空会社が適用されるサイバーセキュリティ規則を順守している場合に限る)
- 安全な運航に直接影響する政府システムの予期せぬ停止・故障
- 緊急手順の使用に至った安全事案によるブレーキの過熱
- 延期できない定例外整備(耐空性改善通報への対応を含む)
- 航空会社に責任のない医療上の緊急事態
- 迷惑行為を行う乗客の降機
- 火山灰・風・ウインドシアによる空港閉鎖
サイバー攻撃については、航空会社が適用されるサイバーセキュリティ規則を順守していることが除外の条件になっている。規則を守っていない航空会社への攻撃は、この除外の対象にならない。
無償対応・補償の縮小を運輸省自身が見込む
規則の費用便益の説明で運輸省は、報告対象の航空会社が現在、カスタマーサービス計画で長時間の「管理可能な」遅延・欠航に対する無償対応を約束し、一部は金銭以外の補償も約束している点を指摘した。そのうえで、10事象が航空会社起因から外れることで、無償対応や補償の対象となる遅延・欠航の件数は減少するとの見通しを示している。減少額の規模は、10事象の発生頻度を運輸省が把握していないため、確実には見積もれないとしている。
手続き面では、運輸省は行政手続法のパブリックコメント手続きを省略した。議会の文言が裁量的余地のない義務づけであるため、手続きを踏む意味がないとする「グッドコーズ(正当な理由)」の例外を根拠にしている。問い合わせ先として、運輸省運輸統計局のRobert Nazareth氏と航空消費者保護局のBlane Workie氏が規則に記載されている。
サイバー攻撃による欠航・遅延が航空会社の管理責任と切り離される枠組みが10月19日から動き出す。航空会社にとっては、適用されるサイバーセキュリティ規則の順守状況が、報告区分と顧客対応の双方に影響する条件になる。
出典
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