研究・分析 / RESEARCH / SECURITY WORKFORCE
MM総研の調査で国内企業の83%が「セキュリティ人材が不足」と回答 — 前年の82%から改善せず、外部委託は「意思決定」が37%で最多
株式会社MM総研は2026年9月8日、国内の民間企業でITシステムや端末の選定とサイバーセキュリティを担当する1,000人から得たWebアンケートの結果を公表した。セキュリティ人材が不足していると認識する企業は83%で、前年の82%から改善していない。外部に委託している業務では「戦略や対策の意思決定」が37%で最も多く、MM総研は上流工程の専門的な知見をベンダーに求める動きが続いていると分析している。
要点
- 株式会社MM総研は2026年9月8日、国内の民間企業でITシステムや端末の選定に関わり、かつサイバーセキュリティを担当する1,000人から回答を得た「民間企業におけるサイバーセキュリティ対策の動向調査」(2026年7月時点)の結果を公表した。
- **セキュリティ人材が不足していると認識する企業は83%**で、前年の82%から1ポイント増え、改善は見られなかった。MM総研は「人材不足は深刻なまま」だとしている。
- 外部に委託している業務領域では、「戦略や対策の意思決定」が37%で最も多い。次いで「法令や指針の順守対応」と「リスク評価・監査」がそれぞれ36%、「戦略・企画」が31%と、実務よりも経営に近い上流工程の委託が目立つ。
- セキュリティ分野でAIを利用している企業は28%で、前年の25%から3ポイント増えた。ベンダー選定でAIの活用状況を重視する企業は63%にのぼり、MM総研はAIとセキュリティの双方を理解する専門家の支援が強く求められていると分析している。
人材不足の認識は83%、前年から改善せず
株式会社MM総研(略称MMRI、東京都港区、横田英明所長)は2026年9月8日、国内の民間企業におけるサイバーセキュリティ対策の動向調査の結果を公表した。調査は、企業でITシステムや端末の選定に関わり、かつサイバーセキュリティ担当を務める1,000人を対象にしたWebアンケートで、調査期間は2026年7月、従業員規模ごとに割り付けて実施された。
結果によると、**サイバーセキュリティ分野で人材が不足していると認識している企業は83%**だった。前年の82%から1ポイント増えており、改善は見られない。「どちらとも言えない」「全く不足していない」と答えた企業の割合も前年と同水準だった。
企業が挙げた主要な課題は、コストが34%、専門スキル不足が29%、**人材不足が28%**の順で、前年に続き上位3つを占めた。MM総研は、人材不足を課題と感じながらも高い採用コストが足枷となり人材確保に苦しんでいる状況が見えるとし、世界的にサイバーセキュリティ人材の需要が大きく、国際資格の保持者が高額の報酬を得る場合が多いことや、日本型の雇用体系では競争力のある高給を提示しにくいことを背景として挙げている。
外部委託は「実務」より「戦略」— 意思決定が37%で最多
企業のセキュリティ対策の方針は、ITベンダーへの外部委託中心が39%、外部委託と内製化を半々とする企業が29%、**内製化中心が33%**の3つに分かれており、構成比は前年とほぼ同じだった。今後の方針も前年とおおむね変わらず、**外部委託を拡大する企業は24%**で、すでに委託の割合が高い企業ほどさらに拡大する傾向があるという。一方、内製化中心の企業は内製化を維持または拡大する方針で、MM総研は二極化がさらに進むとみている。
外部に委託している業務領域を見ると、「戦略や対策の意思決定」が37%で最多となり、「法令や指針の順守対応」と「リスク評価・監査」が36%、**「戦略・企画」が31%**と続いた。MM総研は、実務よりも戦略マネジメント業務の委託割合が高い点を挙げ、上流工程における専門的な知見が引き続きベンダーに求められていると分析している。
セキュリティでのAI活用は28%、前年の25%から増加
セキュリティ分野で**AIを利用している企業は28%**で、前年の25%から3ポイント増えた。利用を予定している、または検討中の企業は前年と同水準の50%程度あり、MM総研はサイバーセキュリティ分野でのAI活用が今後も増えると見通している。
業種別では、通信・ソフトウエア・情報が最も多く、流通、製造が続いた。MM総研は、サプライチェーン攻撃への懸念が強い業界で警戒感が高まり、先端技術を取り入れながら対策を強化していると考察している。従業員規模別では大きい企業ほど活用が進み、従業員10,000人以上の企業では半数近くが利用段階にある。
AIを活用している分野は、インシデント対応が最も多く、次いでセキュリティ戦略・企画、セキュリティシステム開発・構築の順で、この3分野はいずれも導入企業の半数以上が活用している。MM総研は、今後の投資テーマでも2030年度に向けては上位3つをAI関連が占めたとしている。
ベンダー選定では「AIを活用しているか」を63%が重視
委託先を選ぶ際に、**AIを率先して活用しているかどうかを重視する企業は63%**にのぼった。重視する点としては、データ保護や専門家の存在が挙げられている。MM総研は、AIとセキュリティの双方を理解する専門家の支援が強く求められており、ベンダー側には提供体制と人材の強化が必要になるとしている。
サイバーセキュリティサービスベンダー別の利用率では、NECと富士通が同率で1位だった。NECは前年に続いて首位、富士通は前年の2位から順位を上げた。上位5社はこの2社のほか、NTTデータ、日本IBM、日立製作所と大手SIベンダーが占めた。
最も評判の良いベンダーでもNECが前年に続き首位となり、上位5社は利用率と同じ顔ぶれだった。MM総研は、企業側のリテラシーが向上する中で単体のセキュリティサービス提供だけでなく、システムの企画・設計段階からセキュリティ対策を組み込むことが強く求められており、大手SIベンダーの強みが発揮されたと分析している。評価の内訳としては、NECはセキュリティの専門人材が豊富である点、富士通はコスト効率が評価されたという。
まとめ:人材不足が続く中、外部委託とAI活用が選択肢に
MM総研は、サイバーセキュリティの脅威が多様化・複雑化する中で、国内企業のセキュリティ人材不足は深刻なままだとしている。そのうえで、人材不足への打開策としてAI活用と外部委託が進んでいるとの見方を示し、セキュリティ対策を重視する企業を中心に外部の専門ベンダーによる支援を求める動きが高まっていると分析している。
企業側にとっては、採用コストや人材確保の難しさという制約の中で、どの領域を外部に委ね、どの領域を内製で維持するかを決めることが引き続き課題になる。MM総研の調査では、委託が進んでいるのは実務そのものではなく戦略や意思決定、法令順守、リスク評価といった上流工程であり、ベンダーを選ぶ際にはAIの活用状況とデータ保護、専門家の有無が判断材料になっていることが示された。
あわせてMM総研は、セキュリティ分野のAI活用が前年の25%から28%へ増え、導入予定・検討中の企業も50%程度あることから、AIの活用は今後さらに広がると予測している。同社はこの結果をまとめたレポート「サイバーセキュリティの人材動向レポート(2026年7月時点)」を発刊しており、調査結果はMM総研の独自調査であり、公的機関の統計や企業の公表数値と異なる場合があること、作成時点の内容であり今後変更される場合があることを注意事項として挙げている。
調査の概要
- 調査対象: 国内企業でITシステムや端末の選定に関わり、かつサイバーセキュリティの担当者
- 調査方法: Webアンケート調査
- 回答件数: 1,000人(所属企業の従業員規模ごとに割り付け)
- 調査期間: 2026年7月
- 外部委託の領域に関する設問の回答数: 841(複数回答)
- 公表日: 2026年9月8日
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